横恋慕10のお題 トモリンで攻略
3、お前ら、もっと離れろよ
Bl@sterの試合が終わった後、いつもの溜まり場にペスカ・コシカのメンバーは屯していた。
珍しくリンが敵チームから怪我を負わされたが、それ以外はいつも通りの楽勝だった。
そう、リンとカズイが仲良く喋っているのもいつも通りだ。
カズイはリンをベッドの端に座らせ、彼の傷の具合を診ていた。
「結構深く切ってるな……消毒して、薬も塗っておこう」
カズイは眉間に皺を寄せるが、怪我をしているリン本人は大した事がないらしい。
「平気だって。カズイは心配性だな」
むしろ愉快そうに、けらけらと笑っている。
怪我をしているというのに足をぶらぶらと振ってもいる。
「こら。消毒するんだから動くな」
「はーい」
心なしかリンは嬉しそうだ。
カズイはチームのナンバー2であるため、基本的に皆と平等にリンを扱う。
チームの仲間たちにとってリンは信頼に足る頭であり、尊敬の対象だ。
だからそんなリンを持ち上げすぎず、止めてくれるストッパーの役割をするカズイは貴重な存在だった。
ひょっとするとリンはそんなカズイが好きなのかもしれない。
トモユキは密かにそう思っていた。
消毒が終わり、薬を塗りだすと沁みるのかリンは目を細めた。
「沁みるのか?」
カズイも同じ事を思ったのか聞いた。
「ちょっとね。この季節になるとスースするやつは冷たくて」
「薬がこれしかなくてすまない」
カズイが心から済まなそうな顔をすると、リンは首を左右に振った。
「カズイが手当てしてくれるんなら我慢する」
少し恥ずかしそうにリンが言う。
……何だ?このピンクの空気。
何とか言ってやれよカズイ。
「じゃあ、後は包帯を巻くだけだから」
カズイも負けじと甘い顔をする。
こんなのほかの連中には絶対に見せられたい。
――っつーか。
「お前ら、もっと離れろよ!さっきからベタベタしやがって!俺の身にもなれよ!」
二人は顔を見合わせて。
「何を今更」
二人の声がハモった。
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2012年 6月22日 荘野りず
ギャグっぽさとほのぼのMIXで。
トモユキはツッコミに向いていると思います。